足の形から知る相性のいいトゥの選び方 - 靴から始まる病気の傾向

はじめに

「一目ぼれした靴を試着してみたら自分の足に合わなかった」「靴を購入したけど長時間履くと痛くなるのであまり履いていない」なんて経験はないだろうか。

形が合わない靴を無理して履き続けると、痛みが生じるだけでなく病気の原因となってしまうこともある。

足の形の特徴や、かかりやすい病気の注意点を紹介するので靴選びの基準のひとつとして参考にしていただきたい。

足の形は3種類

まずは足の形を紹介しよう。

日本人の足の形は大きく分けて"エジプト型""ギリシャ型""スクエア型"と呼ばれる3つのタイプに大別できる。

どうしてこのように呼ばれるのかは、パリのルーブル美術館に展示されているエジプト彫刻やギリシャ彫刻の足の形に由来していると言われている。

エジプト型

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親指がもっとも長く、人差し指から小指にかけてなだらかなカーブを描く形状のつま先のことである。

日本人の約70%がこのエジプト型で、現在最も多い足の形だと言われている。

重心が外側に傾きやすいという特徴があり、外反母趾になりやすい。

エジプト型でヒールを履く機会が多い女性は特に注意が必要だ。

エジプト型にはオブリークトゥ

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基本的にはどんな靴でも履けることがエジプト型の特徴だが、

その中でもおすすめの靴が、エジプト型の足のようにつま先が斜めにカットされているオブリークトゥである。

他にもラウンドトゥのような丸みがある靴との相性がいいが、

幅が広すぎると指や踵にばかり負担がかかってしまい、外反母趾の原因となるため靴選びの際は親指ではなく、

それ以外の指に注目すると良いだろう。

エジプト型と相性がいいトゥ

ラウンドトゥ

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先端が丸くなっていて、最もポピュラーなトゥの形である。

曲線の角度は、丸みが緩くコロコロしたものから、ややシャープなものまでバリエーションは様々だ。

素材や色などの用い方により、フォーマルやリクルート、カジュアルまで幅広く対応することができ、

丸みが緩いものほどカジュアルな印象は増していく。

紳士靴ではアメリカン・トラディショナル調の靴に多くみられる。

オブリークトゥ

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オブリークには「斜め」のという意味があり、

ラウンドトゥの中でも親指から小指にかけて実際の足の形の様に斜めにカットされた形の靴のこと。

個性を強調しながらもソフト感があるのでクラシカルな表現に適している。

一見、ラウンドトゥと変わらないが、足の形に忠実に作られているため靴の中で足が絞めつけられることがなく、

つま先にゆとりがあり指や足先が痛みづらい。

また、指をしっかりと動かせることもあり、健康靴の定番の形として用いられている。

ロングノーズ・ラウンドトゥ

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ラウンドトゥの中でもノーズ部分が長くよりファッション性を表現した形状で、

ベーシックになりがちなメンズのスーツなどをスタイリッシュに着こなしたいときなどによく用いられる。

ギリシャ型

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親指よりも人差し指が長い形状で、現在、日本人の約25%がギリシャ型である。

全体的に余裕のある靴を選ばないと、人差し指が曲がったまま硬直してしまうハンマートゥになりやすい。

それだけでなく、指が固定されていたり圧迫されている状態が続くと魚の目やタコができる原因となる可能性があるため注意が必要だ。

ギリシャ型はやや長めの靴を

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前述の通り、つま先に余裕がないと靴の中で指が圧迫され曲がってしまうのでハンマートゥ魚の目の原因となる。

そのため捨て寸を多めにとってあるポインテッドトゥやアーモンドトゥを選べば人差し指が圧迫されることはなくなるだろう。

逆に余裕を持たせすぎてしまうと指に負担がかかり外反母趾の原因となるので、実際に歩いて確かめることが重要だ。

ギリシャ型と相性がいいトゥ

ポインテッドトゥ

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ポインテッドには「鋭い、尖った」という意味があり、

その名の通りつま先が極端に尖ったデザインである。

スタイリッシュで辛口な印象が強く、

その形状から視覚的に足が長くすらっと見せる効果があり、エレガンスな表現をする際によく用いられる。

アーモンドトゥ

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アーモンドトゥは、その名の通りトゥがアーモンドのようにとがったような形をしている。

ラウンドトゥとポインテッドトゥの中間のようなイメージでバランスが良く、カジュアルからビジネス、

フォーマルまで幅広く用いられ、他のアイテムと合わせやすいことも特徴の一つとして挙げられる。

セミスクエアトゥ

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スクエアトゥのうち、やや丸みを帯びた形状のことで、

ラウンドトゥとスクエアトゥのいい部分を合わせたような特徴を持っている。

足のつま先の形状や合わせる服をあまり選ばないため、

フォーマルからカジュアルまで様々なシーンで目にすることができる。

現在の日本国内で一番多く見かけることができる形状で、ベーシックなトゥである。

スクエア型

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親指から小指までほぼ同じ長さの足形をスクエア型と呼ぶ。

現在、日本人の約5%がこの形と言われている。

体重がすべての指に均等にかかるため他の足型と比べて指への負担は少ないが、

指の間に魚の目ができやすい。

その名の通りスクエアトゥを

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すべての指がほぼ同じ長さのため、先が細いポインテッドトゥや斜めにカットされるオブリークトゥを履くと

外反母趾やハンマートゥの原因となる可能性がある。

そのためスクエアトゥやラウンドトゥなどの、比較的につま先がフラットな靴がオススメである。

また、捨て寸を多く取りすぎることも同様に避けるように気をつけたい。

スクエア型と相性がいいトゥ

スクエアトゥ

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スクエアトゥとは、つま先が鋭角にカットされた形の靴の総称で、

ラウンドトゥに見間違えるほど先端が丸いものから、明らかに四角いものまで形状は様々だ。

クラシックな印象がある一方、モードな趣を醸し出せるため、

キチっとしたビジネススーツだけでなくパーティーなどのセミフォーマルな場で履くことにも適している。

また足先がやや広く取られているため、履いてもつま先があまり痛くならないというメリットがある。

知っておきたい、靴から始まる足の病気

あなたは何型の足だっただろうか。

先ほどはルーツごとの特徴やおすすめの靴をいくつか紹介したが、

次に足が原因となる病気の症状について紹介する。

開帳足・魚の目

開帳足とは、各指の付け根にある「横のアーチ」と呼ばれる骨が弓形に並んで形作られた部分を

支えている足底筋や靭帯が緩み、各指の間が開ききってしまう症状である。

主要な原因として、運動不足などによる足の筋力低下やつま先部分の狭すぎる靴や

足幅の広すぎる靴を無理して履き続けたことなどが挙げられる。

指で地面を掴みにくくなるため足指を使わないペタペタ歩きになり、疲労がたまりやすくなる。

足裏の指のつけ根に体重がかかるようになるので、その部分に魚の目やタコができやすくなってしまう。

足指や足裏の皮膚の角質が硬く厚くなった皮膚を魚の目と呼び、

中央に芯があり、触れただけで激しい痛みが生じる。

一方で芯がなく痛みあまり感じない皮膚の硬化はタコと呼ばれる。

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外反母趾

外反母趾とは、親指の付け根が内踝側に飛び出し、親指が小指側に「く」の字に曲がってしまう症状のことである。

主な原因は開帳足が深刻化し親指の付け根に持続的な衝撃がかかり発症するケースといわれている。

飛び出した親指の付け根が靴にあたって痛みが伴ったり、

さらに悪化すると親指が変形して隣の指と重なってしまうこともある。

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ハンマートゥ

足の指が折れ曲がっている状態に変形しているもので、本来の足のサイズより明らかに短い靴やつま先が細すぎる靴を常用し、

指を伸ばしきれない状況が続いた場合に発症する。

また、サイズが大きすぎる靴を履くと靴が脱げないように指を曲げて踏ん張って歩くため、

そのまま変形してしまう場合もある。

指の関節の間に魚の目やタコができたり、重症の場合は関節が硬化し手術が必要になることもある。

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モートン病

歩行時など足に体重をかけた際、中指と薬指の間の付け根に焼けるような激痛が走る症状である。

薬指と小指、人差し指と中指の間の付け根に起こる場合もある。

重症になると体重をかけなくても寝られなくなるほど激しい痛みが続くという。

開帳足によって緩んだ靭帯が陥没し足の裏の神経を圧迫した結果、神経が変形して腫れることにより発症する。

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まとめ

無理して合わない靴を履いてしまうと、足が変形したり痛むだけでなく姿勢の崩れや血行障害などを引き起こす原因となる。

冷えやむくみ、頭痛、腰痛などの症状は、実は靴が原因だったということも珍しくない。

「オシャレは我慢」なんて言葉をよく聞くが、我慢をしすぎると自分の体を壊してしまう。

どうしても欲しい靴が足の形と合わないという場合、まずは試着をしてしっかり歩いてみてほしい。

サイズの変更や中敷きを入れることで解消されるかもしれない。

靴を選ぶ際は、履く目的や靴の形を考え自分に合った靴を選び、健康的で正しいオシャレを楽しんでいただきたい。