ワークブーツの種類について - 7種の形とその発祥

はじめに

ワークブーツは一般的にファッションアイテムの一つとして認知されているが、元々は労働者(ワーカー)が作業時に履く作業用ブーツの総称で、常に危険と隣り合わせの環境で作業をしてきたワーカーのために作られたブーツがワークブーツである。
つま先の近くまでシューレースを通すことができ、ホールド力に優れていて靴の中で足がずれることを防いでくれるものや、
つま先に鉄を入れることによって重いものが落下した際に衝撃を抑えるものなど多くの工夫でワーカーの足を支えている。
ホワイツ社やウエスコ社、レッドウィング社など様々なメーカーが存在するが、同じタイプの靴でもメーカーによってこだわりに違いがあるため、自分にピッタリのブーツを探すもの楽しみの一つである。
今回はワークブーツの種類をいくつか紹介する。
種類が多くてどれを選べば良いかわからないというような方はぜひ参考にしていただきたい。

エンジニアブーツ

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エンジニアブーツは、工場などで働く技術者(エンジニア)に用いられた安全靴である。
機械に靴紐が巻き込まれてしまうことや引っかかってしまうことを防ぐため、紐の代わりにベルトで調節できるようになった。
履き口部分のベルトはパンツの裾をブーツにしまえるようにするために取り付けられている。
また、足を守るためつま先部分に鉄製のカバーを入れている。
シンプルな見た目とは裏腹に至る所に足を守るための工夫が施されているのだ。
チペワ社の"STEEL TOE ENGINEER"やロンウルフ社の"LW00300"が定番モデルとして挙げられる。

ロガーブーツ

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チェーンソーで巨木を切り倒し、それを重機で山から降ろす木こり(ロガー)のために作られたものをロガーブーツと呼ぶ。
刃物や大きな丸太が常に周りにある危険な状況から足を守るため、つま先が鉄板で作られているスチールトゥが取り入れられている。
転倒防止のためソールにスパイクを取り付けたり、山の斜面を降りる際にかかと部分が土にめり込んでしまうのを防ぐためにロガーヒールと呼ばれる湾曲したヒールを使用しているものもある。
ロガーブーツではレッドウィング社の"8210"が有名である。

ペコスブーツ

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農作業をする人に履かれていたブーツがペコスブーツである。
カウボーイが着用していたウエスタンブーツを農業に適するように変化させた。
ペコスブーツと呼ぶのが一般的だが、ペコスブーツという名称はレッドウィング社が商標登録しているものであり、区別するために"ローパーペコス"や"カウボーイペコス"などと呼ぶこともある。
靴紐がない代わりに着脱を楽にするためサイドにプルストラップが付けられている。
紐やベルトがなくサイズ調整が出来ないため、購入の際はぴったりとしたものを選ぶことをお勧めする。
レッドウィング社の"8866"が人気モデルである。

ハンティングブーツ

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その名の通り、狩猟の際に使用されているブーツである。
水辺を歩くことを想定し防水性に優れていることや足音を軽減するなど、
多くの工夫が施されている。
ハンティングブーツの代表的なモデルはL.L.ビーン社の"ビーンブーツ"と呼ばれるもので、
シャフト部分以外がゴム素材で覆われている。
軽く履きやすいことや見た目から女性にも好まれている。

マウンテンブーツ

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登山用としてデザインされたブーツで、トレッキングブーツとも呼ばれている。
歩きやすさや丈夫さ、防寒性など様々な機能を備えている。
機能性を重視した本格的なものには化学繊維など最新技術が多く取り入れられている。
最近ではタウンユースを重視してデザインされたものも多くあるため、購入する際は用途に合ったものを選ぶことが大切だ。
有名なマウンテンブーツとして、ディエッメ社の"ロッチャベット"やダナー社の"マウンテンライト"などが挙げられる。

ラインマンブーツ

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電線工(ラインマン)のために作られたブーツがラインマンブーツである。
ロガーブーツと比較すると、トゥの先の方までレースステイが伸びている。
これは足をしっかりと固定することができ、足場が悪い高所での作業を安定させることができる。
実際に作業で使われているものには感電することを防ぐために絶縁材が使用されているものもある。
ラインマンブーツの代表例としてウエスコ社の"ハイライナー"やレッドウィング社の"2914"がある。

おわりに

いかがだっただろうか。
ブーツには様々な形がありそれぞれが異なる背景を持っていて、
多くのワーカーを危険から守ってきた。
こうしたシーンを知ったうえでブーツを履くことでより一層コーディネートを楽しむことが出来、
よりブーツに愛着を持つことが出来るだろう。
自分にピッタリのブーツを見つけて経年変化を楽しんでいただきたい。