靴にこだわりを持つ人へ~ビスポークシューズの魅力~
現代において、革靴はほとんどのものが量産されている。
高級ブランドであっても、大抵のものは既成品であり、
客一人一人に合わせて職人の手によって作られているわけではない。
そんな中、始めから終わりまで熟練の職人の手によって、客の注文通りに
靴を部品から作っていくものがある。
これが「ビスポーク」と呼ばれている。
今回はビスポークがどのようなものか、ビスポーク職人の靴作りについて触れていこう。
ビスポークとは何か?
ビスポークの意味
ビスポークとは「オーダーメイド」のことを指している。
既製品を意味する「レディメイド」と対になる言葉である。
服や靴といった製品を各々な注文や使用目的に合わせて、
既存のものを作り変えたり、新たに作り上げたりしたものがビスポークと呼ばれる。
語源は英語の「be spoken」であるが、
これは、オーダーの際に店員と客がじっくり対話しながら作っていくからである。
類義語にスミズーラ(Su misura)があるが、こちらは「あなたのサイズに合わせて」という意味であり、
ビスポークのように客と職人が対話をしながら靴を作り上げることは指していない。
一足は持っておきたい高級靴
一般的にビスポークは高級靴というイメージがある。
これはビスポークを行っているところに高級靴のブランドが多いからだ。
例としては、ジョンロブ、エドワードグリーン、クロケット&ジョーンズ等が挙げられる。
既成の靴に比べて値段が高く手が出しにくいのも事実ではあるが、
ビスポークにしかない質の高さ、フィット感、デザインもある。
靴に拘りを持つ人ならば、誰しもが憧れるものだろう。
ビスポークの流れ
ここではビスポークがどのような流れで作られていくのかをご紹介する。
ビスポークシューズに興味を持ち始めた方はぜひ参考にしていただきたい。
①相談
まず、ビスポークの靴職人と、どのような靴を作るのかを話し合う。
どこに拘りたいのか、どのような場面で履くのか、自分の好みを伝えることで実際に作る靴のデザインを決めていく。
②採寸
次に足の採寸を行う。
靴職人によって異なるが、足に関する様々な部分を調べていく。
③型・仮靴製作
採寸を元にして、客の足に合わせた型を製作する。
数ミリ単位で細かく調整していくことになる。
その後、型を元にして簡易的な靴を作り、試着してもらって微調整を行う。
④製作
最終的な仕様、デザインが確定したら本番靴の製作に入る。
アッパーの縫いつけ、吊り込み、すくい縫い、出し縫い、仕上げまで全て手作業で行う。
⑤フィッティング
できあがった靴の最終的なフィッティングを行う。
⑥納品
完成品のフィッティングに問題が無ければ、納品となる。
ここまでに3か月~最大1年程度の期間がかかる。
クオリティを高めるためメーカーによって時間に差は出てしまうが、それだけ時間と労力をかけて作られるのがビスポークなのだ。
より深くビスポークを知る
ここからは、さらにビスポークについて深く掘り下げていく。
メリットはもちろん、デメリットも理解した上でビスポークというものを知っていただきたい。
ビスポークが素晴らしいと言われる理由・メリット
ビスポークは既成品の何倍もの金額と時間がかかるが、それに見合うメリットがある。
それは、大きく分けて下記の3つである。
①顧客の足に合わせて靴を作るため、しっかり足にフィットする
②細部まで徹底的に拘り抜くことができる
③作りが既製品に比べて丁寧なので長持ちする
①については、外反母趾などの足が変形する症状に悩まされている方でも、
足に合った靴を作ってもらえるので既製品では耐えなければならなかった痛みも解消されるだろう。
②、③については、ビスポークが量産される既製品とは異なり、
職人が一つ一つを顧客の要望を聞きながら素材やパーツに拘って靴を作るためである。
これらの理由から、ビスポークは高く評価されているのだ。
「オーダーメイド」「特注品」「限定品」というようなワードに憧れを持つ人たちにとっても、
ビスポークは惹かれるものであるに違いない。
ビスポークのデメリット
ピスポークのメリットを前項で述べたが、デメリットも存在する。
それは、職人のレベルを理解した上で靴についての要望を伝えられなければならないということだ。
そうでなければ、折角高い金額を支払っても満足する結果は得られないだろう。
職人の技術やセンスに靴の仕上がりが左右されるため、
対話の時点である程度把握しておかなければならない。
また、既製品と違って手に入れるまでに時間がかかるという問題がある。
もし、絶対に履いていきたい行事などがある場合はある程度の期間を見越して頼まなければならない。
まとめ
「オシャレは足元から」という言葉にもあるように、靴に拘りを持っている方は多いだろう。
その拘りの最高峰がビスポークシューズなのだ。
一足10万円以上もするビスポークシューズが現存しているのは、
やはり靴職人の作る靴が既製品には代えられないものであるという認識が強いからだろう。
既製品の靴よりもワンランク上を目指したい方は、一度ビスポークシューズを手に取ってみてはいかがだろうか。