雨でスニーカーや革靴が濡れたときの対処方法 - 正しい乾かし方と雨ジミ対策

靴を雨に濡らしてしまっても雨ジミを作らせない乾かし方がある。
今回は、雨でスニーカーや革靴が濡れた時の正しい乾かし方と、雨ジミの対策について紹介したい。

普段から靴を濡らさないようにしていても、大事な靴を濡らしてしまう「やらかしや失敗」は起こるものだ。

しかし、重要なのは靴を濡らさないことではなく濡れた後の対処。正しく乾かすことで雨ジミを防ぐことができるのだ。

雨に靴が濡れることで起きる悪影響と解決方法について

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はじめに覚えておいてほしいのは、靴が水濡れることは決して悪いことではないということ。
特に革靴は「靴を濡らしてはいけないから、雨の日は履いてはいけない」と行き過ぎた考えを持つ人もいるが、濡れること自体は問題ない。

濡れることではなく「雨水」に含まれた不純物を革が吸ってしまうことに問題があるのだ。

つまり、雨水に含まれた不純物を取り除くことができれば雨ジミもできることはない。
まずは雨で靴が濡れた時に起きる悪影響と、解決方法について説明していく。

1.雨ジミができる

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見た目にも大きく影響を及ぼす雨ジミは、シャツで言うところのインクや醤油をうっかりとこぼしてしまった状態。

何故、雨ジミができてしまうのかというと、雨水には不純物が多く含まれているためだ。
革が雨水を吸い、時間経過により乾くと革には不純物だけが残るのだが、その不純物こそがまさしく「雨ジミ」の正体である。
厄介なことに、不純物は目では見えないほど小さいため、水分が革の色を変えてしまったのだと勘違いしてしまうのも無理はない。

雨ジミができた時の解決策

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原因の多くが不純物であることから、雨ジミができたときの解決策は簡単。
その方法は、靴全体を綺麗な水で洗い流すという方法だ。

これまで「革靴に水はNG」という考えを持った人にとっては少し勇気のいる行為である。


何故濡らすことで解決するのかと言うと、水には分散させる力があるため濡らすことで不純物自体を散らし、取り除くことができるのだ。

注意点として、革は濡れて色変わりはしないが、柔らかくはなってしまうため、乾くまではしっかりと新聞紙やシューキーパーを使って形を崩さないようにしよう。

2.靴に臭いがつく

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雨に濡れてすぐに乾燥・乾かすことができれば問題にはならないのだが、濡れた直後に靴を脱いで乾燥できる状況は少ない。
むしろ、靴を脱いで乾かすどころか、長時間そのまま履き続けなければならない状況も多い。


その結果、菌が増殖しキツイ臭いが発生してしまうのだ。

濡れても臭いを残さない対策

濡れてすぐに乾燥させることができれば臭いは残らないので、如何に早く乾燥できるのかが要となる。

乾かした後に臭いが残る場合は、臭いの原因は菌なのでクリーニングによって解決・対策することができる。
ちなみに、ネットで書かれている「アロマオイルを垂らす」という解決策では臭いの元を取り除くことはできないので注意してほしい。(中には除菌効果を持った成分もある)

STEP01 まずは靴全体を濡らす

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まずは靴全体を濡らして不純物を取り除かなければいけない。
ポイントとしては、気になる場所だけではなく全体を満遍なく濡らすこと。
水には広げたり追いやる力があるので、濡れていない部分があるとその部分に不純物が溜まってしまうためだ。

STEP02 形を崩さないように新聞紙を入れる

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シューキーパーでも良いのだが、専用のシューキーパーでないのであれば新聞紙の方が安全と言える。
物によっては革に与える力が強すぎて、型崩れの原因となるため紙類を使おう。

STEP03 風通しの良い場所でじっくりと乾かす

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後は乾かすだけだが、最も気を付けないといけないステップとなる。

乾かす時の条件として、直射日光を当てないこと、風通しの良い場所である2点に気を付けてほしい。

靴を置くときは、ベタ置きではなくなるべく地面と靴との設置面を小さくすることがポイント。
靴は複数のパーツをつなぎ合わせて作られているため、表面の革だけではなく1つ1つのパーツを乾かすことを意識することが大事。

STEP4 乾いた後のケアも忘れない

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しっかりとアッパー、ソールが乾いているのを確認できたらケアを行おう。
濡らしたことによって革から不純物だけでなく、栄養や油分も失われているため、クリームやレザーローションなどで補給を行うこと。
ここまでできれば、雨水によるトラブル対策はバッチリと言える。

3.靴の形が崩れる

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靴の雨水トラブルで気を付けたいのが型崩れ。

靴の形は崩れてしまうと修復が難しいため、雨ジミ以上に厄介なトラブルと言えるのではないだろうか?

型崩れの原因はシンプルで、濡れたまま靴を履き続けることによって革が伸びてしまうため。
では直ぐに乾かせばよいのかというと、革は乾くと縮む力が働くため、適切な応急処置を施さないと型崩れが起きてしまうという訳だ。

濡れた時の応急処置で靴の形を保持

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まず避けたいのは革が伸びてしまうこと。
革が伸びたことで起こる型崩れはその後の処置が難しく、戻らない可能性だってある。
対策としては、濡れた状態で長時間を履き続けないことであり、脱ぐことが可能な状況であればなるべく靴を履かないようにすることだ。

また、濡れた状態が良くないのであれば、急いで乾かさないといけない!と焦って乾かしてはいけない。
先に説明した通り、乾かそうとすると革は縮む力が働くため、乾かす時は形が崩れないように新聞紙などを中に詰めておく必要がある。

多少の縮みによる型崩れであれば、履き続けることでまた革を伸ばすことはできる。

しかし、革に大きなダメージを与えていることには変わりないため、靴自体の寿命を縮めることとなる。
靴が濡れても、焦らずに適切な処置を施してから乾かすことを心がけなければいけない。

4.靴にカビができる

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カビの原因も臭いのトラブルと同じく、菌の増殖によるものだ。
そのため、対策方法としては既に説明した「臭い対策」と同じ流れで対応できる。

まずは全体を洗い、次に新聞紙を詰め、条件を揃えて乾かし、最後にケアを行えば問題ないだろう。

では既にカビが出来てしまった時はどうすれば良いのだろうか?

ここからはカビが既にできている場合の解決策を紹介したい。

靴をクリーニングしてカビを落とす

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靴のクリーニングを行うことでカビは落とすことができる。
クリーニングは自身で行っても良いのだが、カビの程度によっては靴修理屋に任せた方が良い場合が多い。
特に長期間放置したカビだと、洗った時に繁殖した部分に痕が残ってしまう可能性があるためだ。

抗菌処理を施す

カビは表面だけでなく、革の内部にもカビの胞子を残してしまうため再発しやすい。
そこでクリーニング後は抗菌処理をしっかりと施すのもカビ対策において重要と言える。
後はカビのできる条件と言われる、高温、湿気、栄養などの環境を作らないように保管すれば、雨水によるカビ対策は完璧だ。

雨で濡れた靴の乾かし方

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ここからは、靴ごとの乾かし方について紹介していく。
基本の乾かし方は「臭い対策」で説明した手順となるので、改めて説明をしておこう。

1.全体を濡らす
2.新聞紙などを詰めて型を崩さないようにする
3.風通しの良い場所で乾かす
4.乾いた後はケアを行う

どの靴においてもポイントとなるのは、1番と2番であり、怠ると乾かしてもシミが残ったり、靴が型崩れしてしまうので注意が必要だ。
また、靴の素材によっては濡らすことを避けた方が良い場合もある。例えばエナメル革は内部の水濡れに弱いため、軽くサッと濡らす程度に加減したり、濡らした布で表面を拭く程度でも良い。

スニーカーが濡れた時の乾かし方

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スニーカーが雨水で濡れた時の乾かし方を、実際に手順を追って説明していくので今後の参考にしていただきたい。
よほど特殊な素材を使用していなければ、通常の乾かした方で問題ない。

STEP1 まずはスニーカーを濡らす

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最初は濡れた箇所も含め、全体を濡らしていくことから始める。
シミがある場合はそこをゴシゴシと洗いたくなるだろうが、表面を傷つけてしまうので漫勉なく濡らすということに意識しよう。

STEP2 スニーカーを濡らした後は新聞紙を入れる

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革靴と比べるとスニーカーは型崩れしにくいと思われがちだが、スニーカーもしっかりと型崩れ対策を行わなければならない。
スニーカーはブランドによって素材も異なる為、手順はしっかりと守る必要がある。

STEP3 風通しの良い場所でスニーカーを乾かす

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ここまでくれば後は乾かすだけだが、説明した通り下記の条件を守らなければならない。
1.風通しが良いこと
2.直射日光を当てないこと

また、しっかりと全体を乾かさなければならないため、1日は置いておくことになる。

STEP4 乾いた後はスニーカー用の製品でケアを行う

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乾いたら雨水による汚れは綺麗になっているのだが、見た目からは想像できないほど栄養を失ってしまっている。
このままではスニーカーの寿命を縮めることになるため、乾いた後はケアを行う必要がある。

ブラシで汚れを払い、必要があればクリームでケアしていく。
また、最後に撥水スプレーをかけておくと、今後の雨対策にもなる。

革靴が雨で濡れた時の乾かし方

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続いては革靴が雨で濡れてしまった時だが、革靴はデリケートなので慎重かつスピーディーな対策が必要である。
革靴を濡らすことに抵抗を覚える人もいるだろうが、雨水を吸ってしまったままだと目立つシミの原因となってしまう。
また、早く乾かさないといけないと思い、ドライヤーをかけることはNGなので気を付けなければならない。

STEP1 まずは革靴全体をしっかりと濡らすこと

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革靴もスニーカー同様に、雨水に濡れた後はしっかりと濡らす。
濡らす際はタオルや雑巾などを使用して、染み込ませていくように濡らしていくのも良い。
どれぐらい濡らせば良いですか?という質問も多いのだが、表面が水分で色が変わる程度ではなく、革を押した時に水が溢れ出るくらいに濡らすようにしよう。

STEP2 革靴の内部に新聞紙を詰める

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各部をしっかりと濡らしたら、次に乾かすための準備を行う。
その準備というのは新聞紙を内部に詰めるというものなのだが、これは必ず行っていただきたい。
何度も説明してウンザリするかも知れないが革靴はデリケートなため、無理なケアを行うと革が影響を受けて、型崩れの原因となる。
そのため、乾かす前は型崩れをしないように新聞紙を、多めに入れておく。
そして一度だけでなく、夜寝る前に新聞紙を交換することも型崩れから靴を守る秘訣である。

STEP3 直射日光はNG!革靴はじっくりと自然乾燥させる

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乾かす時のNG要素は「直射日光」「風通しの悪い所」なので、直射日光が当たらないからと言って下駄箱にしまってしまうのはいけない。
また革靴は複数のパーツ構成で成り立っており、表面が乾いてきたかなと思っても、内部がまだ濡れているなんてこともある。
なので、じっくり時間をかけた自然乾燥を心がけよう。
特に判断が難しいとされるパーツがソール部分だろう。面積も広くパーツ自体にも厚みがあるので、一見乾ききったように見えても内部に水分が残っているなんてこともある。
乾かす期間の目安として最低1日は置いておきたいところだ。

STEP4 乾いた後は革靴のケアを行う

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全体が乾いた後は革靴のケアを怠ってはいけない。
革を濡らして乾燥させてことによって、栄養や油分を失ってしまっている。
クリームで潤いを与えることで、革をケアしヒビ割れから守ってくれる。
革靴は濡れた時の応急処置のスピードが重要なので、雨が降ると分かっている場合はなるべく履くこと自体を避けた方が良いだろう。
濡らした後の対策だけではなく、濡らさないようにする意識も靴の持ち主として心がけねばならないことだ。

ブーツが濡れた時の乾かし方

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続いてブーツが濡れてしまったときの乾かし方も見ていこう。
頑丈に作られていてタフという印象を持たれやすいブーツだが、実際は革靴と同じようにデリケートに扱う必要がある。
それでは早速、ブーツが濡れた時の乾かし方を見てみよう。

STEP1 ブーツをしっかりと濡らす

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他の靴と同じように最初はブーツ全体をしっかりと濡らしていく。
雨ジミの原因は「水分」ではなく、大半は雨の中に含まれる不純物である。
そのため一度も濡らさずに乾かしてしまうと、汚れが革に付着したままとなり雨ジミとなってしまう。
少し度胸のいるステップだがここを飛ばしてしまうと元も子もない。

STEP2 内部に新聞紙をたっぷりと詰める

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内部に新聞紙を入れていくのだが、注意したいのは適度な量を入れること。
少なすぎても、パンパンすぎてもいけない。
新聞紙は水分で柔らかくなったブーツの形を崩さない役割もあることを覚えておこう。
また、履き口までしっかりと入れることも忘れないようにしよう。

STEP3 場所を確保してしっかりと乾かす

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直射日光は当てず陰干しで乾かすことを優先する。
また、ソールを地面にベタ付けするのではなく、立てかけるようにして風通しを良くする。
ブーツは大きいので人通りのない場所を確保して、じっくりと乾かそう。

今回使っているようなムートンブーツは乾きづらいので1日だけじゃ乾燥できないことも多いので、つま先まで手を入れて濡れていないか確認しよう。

新聞紙も最初の方はこまめに交換しておくと、より乾きやすくなる。

STEP4 乾いたら撥水スプレーによる対策もおすすめ

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他の靴同様に乾いた後のケアは欠かさないように。
乾いた後に撥水スプレーなどを使って、今後の雨濡れ対策を施すのも良いだろう。
濡れたら、しっかりと乾かしてケアを行う。これを忘れなければ雨水も怖くはない。

パンプス・ヒールが濡れた時の乾かし方

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急な雨でパンプスが濡れてしまい、そのまま玄関で乾かしたことのある女性も多いのではないだろうか?
パンプスの素材によってダメージは変わるが、他の靴同様にしっかりと乾かすことで長く綺麗に履き続けることができるので、ぜひ乾かし方を覚えていただきたい。

STEP1 素材に注意して水洗いを行う

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パンプスと一言で言っても、ブランドや種類によって使われている素材は様々。
水洗いを行うことは大事だが、素材によって洗い方を調整するのが好ましい。
通常の革であればしっかりと洗い、エナメルであればサッと流す程度で済ませ、水気を取っておく。

STEP2 風通しを意識して乾燥させる

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種類によっては新聞紙を詰めることができない場合もあるが、基本は詰めるようにしよう。
また、壁に立てかけるように置くと風通しもよく綺麗に乾燥させることができる。

STEP3 失った栄養をケアすること

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洗って乾燥させたパンプスの表面は栄養が失われてしまっている。
全体がしっかりと乾いたら専用クリームやスプレーでケア、もしくはお店で一度磨きケアを行っておくと良いだろう。
乾燥させた状態で履いてしまうと、シワやひび割れの原因となるので注意が必要だ。

まとめ

今回は靴が雨に濡れた時の対策を紹介したが、これまでケアなんてしてこなかったなんて人は是非参考にしていただきたい。
靴もしっかりとケアすることで、寿命に数年も差が出てくる。
また、雨の日用に素材や作りが雨に強い靴を準備しておいたり、撥水スプレーで事前に対策しておくのも良いだろう。