革靴の鏡面磨き(ハイシャイン)の方法 - 靴修理職人が教える鏡面磨きの工程と3つのテクニック

今回は靴修理職人直伝の革靴の鏡面磨きの方法をご紹介したい。
鏡面磨きは主にトゥ部分を磨き上げ、鏡面のように輝かせる技術で、靴磨きを行うのであれば覚えておきたい。
また、鏡面磨きの下準備として通常の磨きも工程に含まれているので、鏡面磨きだけでなくそちらも是非見ていただきたいものだ。

靴磨き技術の一つでもある鏡面磨きとは?

20171101_02.jpg

鏡面磨きとは冒頭でも説明したように、靴のトゥを鏡面のように磨き上げること技術である。
実際につま先部分を除くと自分の顔が反射してくっきり映るほどだ。

鏡面磨きの呼び方は様々

20171101_03.jpg

一般的に鏡面磨きと呼ばれるが、その他にもハイシャインやミラーシャインと呼ばれることがある。
ちなみに当店ではスーパーシャインという名称で鏡面磨きを提供している。
また、店舗ごとによって名称は異なるが、作業の流れはほとんど同じだ。

鏡面磨きの手順

20171101_04.jpg

ここからは実際に鏡面磨きの手順を紹介していく。
前半は鏡面磨きするための磨きを行い、下準備が完了したら実際に鏡面磨きを行っていく。
是非、手順を踏みながら自身でも鏡面磨きを試していただきたい。

STEP0 道具の準備

20171101_05.jpg

まずは鏡面磨きを行うための道具を準備する。
今回は下記の製品を準備し、製品の詳細に関しては後半の別項目でまとめて紹介する。
1.シューツリー
2.馬毛ブラシ
3.レザーローション
4.クレム
5.豚毛ブラシ
6.乾拭き用の布
7.鏡面磨き用ワックス
8.ハンドラップ
9.磨き用クロス

STEP1 シューツリーを装着する

20171101_06.jpg

まずは、靴にシューツリーを装着する。
磨くこと自体はシューツリーがなくても可能なのだが、シワが伸びきらないため細部まで磨くことができない。

STEP2 靴紐を外す

20171101_07.jpg

次は靴紐を外していく。
靴磨きでは表面だけでなく、タンの裏側などしっかりと磨かないといけないので、靴磨きの際は面倒くさがらずに外してから磨こう。

STEP3 馬毛ブラシで全体の埃を落とす

20171101_08.jpg

ここから靴を実際に磨いていく。
まずは馬毛ブラシで全体の埃を落としていく。
注意する箇所はコバ周りと、タン部分は汚れが溜まりやすいので念入りにブラッシングしよう。

STEP4 レザーバームローションで油分を取る

20171101_09.jpg

20171101_10.jpg

使用しているのサフィールのローションで、革上のクリーナーを行う。
これは以前に靴磨きをした時の、ケアの成分が表面に残っているためでしっかりと落とす必要がある。

STEP5 クレムで革に栄養を与える

20171101_11.jpg

20171101_12.jpg

ローションで全体をまんべんなく磨きあげたら、クレムで革全体に栄養を与えていく。
補色効果もあるので、自分の靴の色に適したものを使用するようにしよう。また、敢えて違う色を使うことでいつもと違う雰囲気を演出すうこともできる。

STEP6 豚毛ブラシで全体になじませていく

20171101_13.jpg

クレムを全体に塗り上げたら、豚毛ブラシで磨いていく。
コツは力強さや速さも必要だが、直接磨くというよりは摩擦熱で革の奥になじませていく感覚である。

STEP7 乾拭きを行う

20171101_14.jpg

全体にクレムが馴染んできたら余分な成分を取り除くために乾拭きを行う。
使用する布は不要となったシャツなどでも良い。
ここまでが鏡面磨きの下準備と言える。つまり、靴磨きの工程である。

STEP8 ワックスを薄く塗っていく

20171101_15.jpg

20171101_16.jpg

ここからの工程が鏡面磨きとなるのだが、まずはワックスをトゥとかかと部分に塗っていく。
鏡面磨きは履きジワにならないように、靴のシワができない箇所で行っていくので、トゥ・かかとの2か所で行うことが多い。
たっぷり塗るのではなく、薄いワックスの膜を革に乗せていくというのを意識しよう。
またコバ周りなどは塗り辛いので丁寧に、そして円を描くように塗っていこう。

STEP9 水で磨き上げる

20171101_17.jpg

20171101_18.jpg

ハンドラップでクロスを濡らし、ワックスを塗った箇所を磨き上げる。
強く磨くと塗ったワックスが剥がれてしまうので、表面を優しくこすりワックスをより薄く伸ばしていくイメージで磨く。
クロスは常に濡れた状態を維持しすることも忘れてはいけない。

STEP10 ワックスを塗り、水で磨く作業を交互に繰り返す

20171101_19.jpg

STEP8、9の作業を交互に繰り返していくことで、徐々に鏡面のようになってくることに気づくだろう。
ワックスの薄い層を何層も作っていくイメージを忘れずに、優しく磨いていく。
ワックスの量・水の量・磨く力強さ次第によって完成度は変わり、ベテランになればなるほど早い時間で鏡面ができる。

STEP11 完成

20171101_20.jpg

最後に靴紐に通して完成となる。
ビフォーとアフターを比べてみるとどうだろう、すぐに靴の輝きの違いに気づくことだろう。

鏡面磨きの技術と豆知識 3つ

20171101_21.jpg

今回説明した鏡面磨きの工程はポピュラーなものであるが、その他にも工夫を凝らした鏡面磨きの方法があるのでそちらも紹介しておく。
ユニークな技術から、これから靴磨きをする人達に役立ちそうな技術もある。

ハンドラップを使用せずに、水滴を垂らす

20171101_22.jpg

鏡面磨きでクロスをハンドラップで濡らすのだが、磨きにおいてどれくらい濡らすのかというのは非常に重要で、最初の頃は水を付けすぎたりする場合がある。
磨き方の一つとして、ハンドラップで濡らすのではなく磨く箇所に水滴を少しつけて、それを伸ばすに磨く方法もあるという。
水分の調整が苦手という人は、調整が簡単になるので一度試してみると良いだろう。

ワックスは靴のシワ部分には塗らない

20171101_23.jpg

ストレートチップなど目印があると比較的簡単に塗る範囲を決めることができるが、靴の種類によってはどこまでワックスを塗って良いのか判断が難しい場合がある。
そんな時は靴の履きシワに注目しよう。
ワックスは履きシワに塗ると、履いてる時に表面がバリバリと割れてしまうため、履きシワには塗らないことを鉄則としよう。

クレムやワックスは指で塗ると馴染みやすい

20171101_24.jpg

今回は専用ブラシや、クロスで塗ったクレムやワックスを、指で塗ると体温のおかげもあって革になじみやすくなります。
スピード短縮にもつながるので、急いでいる時なんかは自身の指で塗っていくのも良いだろう。

今回の鏡面磨きの工程で使用した製品

20171101_05.jpg

鏡面磨きの手順で使用した製品の詳細をこちらで紹介しておく。
クリーム系の製品は靴との相性もある為、色々な製品を使ってみるのもよいだろう。

シューツリー

20171101_25.jpg

シワを伸ばす役割を果たすシューツリー。
今回はシンプルながらも万能で、様々な靴に用途できるタイプを使用している。

馬毛ブラシ

20171101_26.jpg

靴の埃を落とす際に使用したサフィールの馬毛ブラシ。
馬毛ブラシは毛の質が柔らかく、靴に傷をつけずに細部まで届くという利点がある。

豚毛ブラシ

20171101_27.jpg

馬毛ブラシよりも毛が固くしっかりしているのが特徴。
靴に塗ったクレムを革になじませる時に良く、馬毛ブラシ同様にサフィール製のものを使っている。

サフィール レザーバームローション

20171101_28.jpg

磨きの時には必ず使用するサフィール製のレザーバームローション。
強すぎず弱すぎないクリーナー効果が良く、革にも優しい製品である。

サフィール クレム

20171101_31.jpg

革に栄養、補色の効果を与えるサフィールのクレム。
今回は黒い革靴だったのでブラックを使用している。
シアバターも配合されており、伸びの良さは抜群で、油分の浸透率も高い。

乾拭き用の布

20171101_30.jpg

乾拭き用の布は使用しなくなった衣服類でも代用可能です。
専用的な物以外だと、ストッキングはきめ細かいので使用する人も多い。

サフィール ビーズワックスポリッシュ

20171101_29.jpg

磨き用のクロス

20171101_32.jpg

鏡面磨きはではクロスの選択も重要である。
クロスの素材でも出来に大きく影響がでるため、きめ細かく柔らかい素材を使用するようにしよう。
力がどうしても入りすぎてしまう人は厚めのクロスをおすすめする。

ハンドラップ

20171101_33.jpg

クロス装着時に使用したハンドラップ。
ハンドラップは製品ごとに水の出る量が微妙に異なるため、ハンドラップを愛用し続けて、癖を見つけることが重要だ。

まとめ

20171101_35.jpg

今回は磨きも含めて鏡面磨きの工程を紹介した。
これまで磨きを行ったことがないという人たちも、これを参考に是非靴磨きの魅力の一部を体感していただきたい。
時間はかかるが、靴を長く綺麗に履いていくためにも磨きは行うべきだろう。